悪魔と踊るアニメを見ました

 ネタバレあります

 

 友人に勧められて、録画したまま放置していたダンデビを見ました。端的に言うと、すごい面白かった……悔しい……。

 乙女ゲーム系列のアニメというと、内容が無いようだったり、しっちゃかめっちゃかだったりと、何かとやりたい放題なイメージだったんだけど、その辺はこのアニメも同じで、何故かキャラクターが突然歌いだす。すごい。

 ミュージカルアニメだとは聞いていたけど、まさかここまで歌ってくれるとは。戦闘中も容赦なく歌うし外だろうと歌う。みんなハートが強い。

 その歌も大抵がわけわかんない歌詞でびっくりする。でも何故か耳に残るのでとても困る。最初聞いたときは爆笑してたのに、「いい曲じゃん……」と段々思えてくるから怖い。アモールのラ行三段活用はずるいでしょ。OPとEDもいいよね。EDのよくわかんない棒人間がもう頭から離れない。

 内容の方はかなり王道。三つの勢力の対立、正義への不信、友情に恋愛。少女あとは家族とか、血統とか、そういう不変的なテーマ。一人の少女の成長の物語というか、子供が大人への階段をのぼる話の側面も持ってる。とりあえず、物語として押さえるべきところをしっかり押さえてる感じがします。あと非日常に突然放り込まれるという序盤の流れも王道で、誰もが入りやすい作りにしてある、のだと思う。ゴシックなモチーフは好き嫌いあるだろうし、学園や生徒会といった馴染みやすい設定でバランスをとろうとしてる気がする。そのせいで設定てんこ盛りやったー!美味しいです!って感じにもなってるような気もする。

 設定としては高校生くらいの子が好きそうな雰囲気。だって高校生のとき、似たような設定の夢小説書いてたもん……。

 これまた友人に押し付けられて見た、同じ系列の吸血鬼が女の子の血を吸いまくるアニメはだいぶ心がしんどくなったけど、こっちは安心して見られました。あれはあれで、吸血を嫌がる私と無理矢理な俺プレイなんだなと理解してしまうと安心なんだけど、それがわかるまでにちょっと時間がかかってしまって……。ダンデビが安心して見れる理由は、たぶん、主人公のリツカちゃんがとても愛されていて大事にされていることがハッキリとわかるからかな、と思います。

 あっ、ポメラニアンがのそのそ動くのが可愛かったなぁ。敢えてポメっていうのがいいよね。ポメだったり、魔法陣だったり、背景の小物だったりも気を遣っていて、画面が楽しい良いアニメでした。

 なんでここまでどっぷりハマったのか考える中で、たぶん、正義であるはずの協会側がなんかきな臭い、というのがグッときたのかなと思います。正義側に問題がある、みたいなの好きだよね。本当に怖いのは人間、とかそういうジャパニーズホラー的な話がツボなのかも。まぁでも一人の人間が死んで世界が救われるならそうしちゃうだろうし合理的だよね。

 あと、そのせいで、主人公と兄のふたりぼっちという構図ができたのが凄くよかった。誰にも頼れない、誰も信じられない、世界はこんなに広いのに、たったふたりだけ。まあ、兄にしたら嬉しいんでしょうけど。こわい。

 主人公が乙女系によくある愛脳じゃないところも良かったし、アズナの存在が大きかった部分も好きになる要因の一つだったんだと思う。アズナ、最後までかっこよかったなぁ。結局命懸けでリツカを守ったのって、アズナだけなんだよ……。

 アニメではレム様が他の人のルートのフラグを寸での所でバキバキに折ってまわるだけになっちゃって、結局ノーマルエンドに落ち着いたから、ゲームではどんなお話なのかとても楽しみ!レム様は折るだけじゃなくてちゃんと自分のフラグも立てなきゃ駄目だよ!兄貴とかリツカが引くレベルでフラグ立てるの必死だったじゃん、ちょっと見習って。

 Rejetさんの特色であるらしい、死というモチーフも、ゴシックな雰囲気によく合っていて良かったです。暗澹としたイメージの設定ながら、思ったより暗くなり過ぎず、日曜の朝のアニメのような爽やかさすらあったのではないかと思います。話も王道で、気がまえずに見れる。キャラ萌えできるかは多分人によるかも……。私は特にキャー○○クンカッコイイ!とはならなかったなぁ。みんな可愛い。

 あとなんとなく思ったのですが、フロイト的な、なんかしらのメタファー的なあれが多いですよね。ドS吸血鬼プレイアニメを見てた時にそれは強く感じたのですが、たぶんそこもRejetさんの特色なのかなって。何とは言わないけど。

 そういう事を含めて考えると、少女の性への抵抗と嫌悪、みたいなのも見えてくるかもしれない。リツカちゃんが徹頭徹尾、快楽への誘惑をはねのけ続けるのは、欲望や性への潜在的な恐怖があるのかも。愛を信じていたい、また信じられる強さを持つ子なんだろうなぁ。実際最近のJKってそういった欲望をぶつけられる機会があまりにも多いし、気持ち悪さもひとしおだよね。ダンデビの男どもは、というか乙女ゲー界隈の男は年上に迫られる恐怖をもっと理解した方がいい。最終的にリツカちゃんは、そういう欲望を拒絶する段階から一歩先に足を踏み出したので、やっぱり大人の階段登るシンデレラ物語だったのでしょう。

 ゴシック、オカルトモチーフというと、EDが凄い凝縮されてるなぁと思いました。タロットカード、サーカス。アリスはちょっと毛色が違うけど、人気だよね。薔薇、時計のモチーフもよく出てくる。あとはなんだろう、魔法陣とか?

 ヴァンパイアの城、教会的な造りになってた気がするんだけど、どうなんだろう。燭台とか置いてたし、ステンドグラス的なものもあった。特にリツカちゃんが階段を一段ずつ登るシーン、あれカトリックの祭りでの礼儀作法じゃないかな?ヴァンパイアは元は人間らしいから、儀式の雛形が人間の宗教になってるのかな。

 あとネスタの心臓の隠し場所、「ははーん、これはリンドの中だな!」って思ったらそんなに鬼畜なことはしてなかったね。ごめんなさい。リツカに殺されるなら本望だ……やだ!兄さんを殺すなんてやだ!みたいな展開があるのかと思っちゃったよ。

 とにかくオススメなので色んな人に見てほしいアニメです。何も考えずにぼんやり見るのが楽しい。面白くないと思ったら、たぶんその方が健全な気がするからそれはそれでよし!